臨床検査は生体検査と検体系検査の2つに大きく分けられます。生体検査は人間の体(生体)の表面(体表)から直接、体の中の様々な信号を拾い上げ可視化することにより臓器の状態を確認する検査であり、検体系検査は人間の体の中から採り出した血液や組織(検体)から体の中の状態を推定する、または起きている異変を検索するための検査です。
前者には生理機能検査、後者には生化学検査、免疫血清学的検査、血液学的検査、一般検査、輸血関連検査、病理検査、細菌(微生物学的)検査などの検査が含まれます。
当臨床検査科には現在14名(嘱託、派遣、受付事務等含む)のスタッフが在籍し、生理機能検査(健診センターでの検査も含む)、輸血関連検査、病理検査、検体検査(生化学、免疫血清、血液、一般)の検査業務および外来採血を行っています。
正確なデータを迅速に提供するため日々の精度管理はもとより学会・研修会への参加や認定資格取得など自己研鑽にも努めています。また、感染対策チーム(ICT)、栄養サポートチーム(NST)、糖尿病療養指導チームなど院内でのチーム医療活動に参画しています。
各種認定資格等(2019年4月現在)
国際細胞検査士 |
生理機能検査としてまず思い浮かぶのが心電図検査です。通常の安静時心電図に加え、長時間に渡り波形の記録を行うホルター心電図や歩行による負荷を掛けながら行う運動負荷試験などの心電図検査もあります。
超音波(エコー)検査は体表から超音波を当て、跳ね返ってくる超音波を拾い臓器の状態を画像として描出する検査で、心臓、腹部、甲状腺、血管などの種類があります。
その他、呼吸機能検査、脳波検査、筋電図検査、血管の硬さや壁(血管壁)の状態を調べるABI(足関節上腕血圧比)、TBI(足趾上腕血圧比)など様々な検査を実施しています。
睡眠時無呼吸症候群の診断のための終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)検査も行っています。
血液型検査を始め、輸血療法時に不可欠な不規則抗体検査や交差適合試験(輸血用の血液製剤が適合するか否かを判定する)を実施しています。
妊娠時や血液系疾患などの場合ではクームス試験と言われる検査も行います。
手術や内視鏡検査、体表からの腫瘍穿刺時などに採取された臓器・組織片、細胞検体から顕微鏡にて観察するための標本(プレパラート)を作製します。作製した標本から病理医が病変の有無、良悪性、組織型などの病理診断を行います。
術中迅速診断や一部の分子標的治療薬使用の可否を判定する検査のための検体処理にも対応しています。
採取された血液や尿から様々な成分の濃度や活性値を分析測定し、数値データとして報告します。AST、ALTなどの「肝機能」、尿素窒素、クレアチニン、電解質などの「腎機能」、コレステロール、中性脂肪などの「脂質」、血糖、ヘモグロビンA1cなどの「糖代謝」などの測定項目があります。
服用した薬剤の濃度を調べる「血中薬物濃度」も測定しています。
肝炎ウイルスの抗原・抗体や血中甲状腺ホルモン濃度などを測定しています。
感染症の迅速検査(インフルエンザ、マイコプラズマ、肺炎球菌、レジオネラ、ヒトメタニューモウイルスなど)も実施しています
貧血や白血病など血液系の異常や疾患の有無を調べるための検査です。赤血球や白血球、血小板の数や形態の異常が検査の対象となります。また、血液凝固因子(血液を固める成分)の活性を調べる検査も行っています。
尿や糞便、穿刺液などが対象となる検査です。尿検査には特定の成分の有無を調べる定性検査と細胞有形成分の形態を調べる尿沈渣検査があり、糖尿病や腎臓障害の可能性、膀胱を始めとした尿路系異常発見のスクリーニングとなります。便潜血検査は糞便中に含まれる血液成分を検出することにより消化管(特に大腸)での出血性病変(ガンやポリープ、潰瘍など)の有無の可能性を検索します。